手術前によく体を動かしていた人ほど術後せん妄が少なかった がん手術258人を振り返った研究(米国麻酔科学会、学会発表)

戦士諸君、「術後せん妄」という言葉を知っているか? 手術のあとに、一時的に急に頭が混乱した状態になることだ。米国麻酔科学会は10月18日、手術の前によく体を動かしていた人ほど、この術後せん妄が少なかったという研究を、学会(ANESTHESIOLOGY 2026)で発表したと伝えた。ただし、これは「関連が見られた」という結果で、「運動すれば防げる」と確かめたものではない。筋トレそのものを調べた研究でもない。

どんな研究か(米国麻酔科学会の発表による)

  • 学会で発表された研究で、論文として出たかどうかは、発表では示されていない。
  • 2024〜2025年に、がんの腫瘍を取る手術を受けた258人を、過去にさかのぼって調べた(後ろ向きのマッチド症例対照研究)。
  • そのうち術後せん妄になったのは64人、ならなかったのは194人。
  • 手術前の歩行や、中くらい〜激しい運動を、週に何回していたか、座っている時間はどれくらいかを、本人の申告で比べた。
  • 研究は、南フロリダ大学とモフィット・がんセンターの研究者による。

分かったこと

  • 歩行と、中くらい〜激しい運動を合わせて週7回以上していた人は、術後せん妄になるリスクが約50%低かった。
  • 術後せん妄になった人は、ならなかった人に比べて、歩行も運動全体も少なく、座っている時間が長いと答えていた。

術後せん妄はめずらしくない

発表によると、術後せん妄は手術を受ける人のおよそ5人に1人に起こり、特に高齢の人に多い。入院が長くなる、回復が遅れることなどとも関係しているという。

気を付けて読みたい点

  • 過去にさかのぼって調べた研究で、運動の量は本人の申告による。
  • 研究者自身も、もっと大きな研究が必要だと述べている。
  • 対象は、がんの手術を受けた人に限られる。
  • 研究者は、大きな手術を控えた人に、安全に体を動かす方法や、手術前に体力を整えるプログラム(プレハビリテーション)について、医療チームに相談するようすすめている。自己判断で急に激しい運動を始めるのではなく、まず主治医に聞こう。

SPU的視点

筋肉は、いざという時に急には作れない。毎日の散歩や軽い運動の積み重ねが、体だけでなく頭の回復にも関わっているかもしれない、という話だ。まだ「かもしれない」の段階だが、動ける日に動いておく理由がまたひとつ増えた。バルクんも今日は、三輪車をこいで遠回りして帰る。今日もパンプ!

出典:
EurekAlert!「Could staying active before surgery help prevent postoperative delirium?」(米国麻酔科学会 ASA、2026-10-18)https://www.eurekalert.org/news-releases/1146685

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