36戦のベテランが月へ帰る!アルテミスIIIのコアステージに、シャトル実戦経験「RS-25」4基の装着が始動

戦士たちよ。月へ向かう巨大ロケットの「心臓」が、いま組み上げられている。しかもその心臓は、新品ではない。スペースシャトル時代に合計36回の実戦をくぐり抜けたベテランたちだ。

事実:2026年8月24日、アルテミスIIIのエンジン装着が始まった

NASAは、フロリダのケネディ宇宙センターで、アルテミスIIIミッション用SLS(スペース・ローンチ・システム)ロケットのコアステージに、RS-25エンジン4基の装着作業を2026年8月24日に開始したと発表した。この作業は、夏前に完了したエンジンセクションとコアステージ上部(全長の約5分の4)の結合に続く、統合フェーズの次の一手にあたる。

アルテミスIIIは、宇宙飛行士4名を月へ送り込む有人ミッションだ。NASAは打ち上げを2027年に予定している。

事実:1基あたり推力50万ポンド、4基で200万ポンド

NASAが公表しているRS-25のスペックは、戦士の想像力を刺激する数字だ。

  • 重量:1基あたり約7,700ポンド(約3.5トン)
  • 推力:1基あたり約50万ポンド(約227トンf)
  • 4基合計:約200万ポンド(約907トンf)

3.5トンの塊が、その約65倍の推力を生む。出力重量比という一点において、これは人類が作り上げた最も洗練された「筋肉」の一つだ。

事実:36回のシャトル飛行を経た4基のベテラン

ここが今回の最大の見どころだ。アルテミスIIIに割り当てられた4基のエンジン(機体番号 E2054・E2057・E2048・E2052)は、すべてスペースシャトル時代に実際に飛行した実機である。

製造元のL3Harris Technologiesによれば、この4基は合わせて36回のスペースシャトル飛行を支えてきた。その中には国際宇宙ステーション(ISS)の組立ミッションや、マーキュリー計画の宇宙飛行士でもあったジョン・グレン上院議員の歴史的な宇宙復帰飛行が含まれる。

とくにエンジン2048号機の履歴は濃い。NASAによれば、この1基は1998年のSTS-95でスペースシャトル「ディスカバリー」を、そしてSTS-129でスペースシャトル「アトランティス」を押し上げた。STS-95はグレン氏が搭乗した飛行であり、STS-129にはアルテミスIII関連の訓練にも名前の挙がるランディ・ブレズニク飛行士が搭乗していた。つまり、月へ向かうロケットの底には、過去の有人飛行史がそのまま刺さっている。

なお、L3HarrisはアルテミスIII以降のミッションについて、「新造エンジンを使用し、最新の製造技術と改良を取り入れることで、性能と信頼性を維持しながらコストを削減する」としている。使い込んだベテランから、新世代へのバトンタッチも同時に進んでいるということだ。

事実:ブースター積層とクルー訓練も並行して進行中

コアステージだけではない。NASAの発表によると、固体ロケットブースターのセグメント積層は2026年7月初旬に開始され、工程の効率化によって半分以上が完了している。

クルーの側も動いている。アルテミスIIIに任命された4名は2026年6月9日の任命後、集中訓練フローに入り、水上サバイバル訓練、実物大モックアップでの操作訓練、初期の統合シミュレーションを完了している。機械と人間が、同じ締切に向かって同時に鍛えられている状態だ。

SPUの視点:再利用は、手抜きではなく「積み上げ」だ

ここからはSPUとしての見立てだ。

「中古のエンジンで人を月に送るのか」と思った戦士もいるだろう。だが見方を変えてほしい。36回の実飛行を生き延びた個体というのは、カタログスペック上の強さではなく、実戦で証明された強さを持っているということだ。ジムでも同じだ。一度も高重量を扱ったことのない新品の肉体より、何年もバーベルの下をくぐり、フォームを修正し、故障から戻ってきた肉体のほうが、いざという場面で折れない。

そして重要なのは、この4基が「楽をするため」に再利用されているのではない点だ。分解され、点検され、シャトル時代より高い推力で動作するようアップデートされている。過去の実績の上に、新しい負荷への適応を積み増している。ショートカットではなく、積み上げ。SPUがずっと言ってきた「正しい努力」と同じ構造だ。

宇宙開発の現場は、派手な打ち上げの瞬間だけで動いているわけではない。3.5トンのエンジンを1基ずつ正確に取り付ける、地味で、静かで、間違いが許されない作業の積み重ねが、200万ポンドの推力になる。お前の1レップも、同じだ。

今日もパンプ!

出典

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