戦士諸君、宇宙で動かなくなった物体に近づいて「点検」する。そんな技術を試すはずだった小型衛星が、運用の準備中に地上との交信を失った。NASAは11月3日、NASAが資金を出して支援した技術実証「SSPICY」の機体について、運用するStarfish Space社とともに、機体を回復できないと判断したと発表した。
何が起きたのか
- SSPICY(Small Spacecraft Propulsion and Inspection Capability)は、Starfish Space社が主導する技術実証で、10月1日に打ち上げられた
- 打上げ後、最初の交信はできたが、機体の運用を始めるための確認作業(コミッショニング)の途中で交信が途絶えた
- NASAとStarfishの調べで、機体の故障対策のシステムに問題があり、無線機を誤って切ったままにしていたことが分かった
- この問題で交信ができず、NASAとStarfishは機体を回復できないと判断した
何をするはずだったのか
- 低い地球周回軌道にある、動かなくなったアメリカ由来の物体に近づいて点検する予定だった
- あわせて、進んだ推進の技術、誘導・航法・制御の技術、関節のあるロボットのアーム(ブーム)の実証も予定していた
- Starfishの「Otter」と呼ばれる機体の初めての打上げで、同社の航法と推進の技術を1機にまとめた初めての例でもあった
これから
- Starfishは、今後のOtterのミッションで、これらの技術の性能についての情報をNASAのために集め続けるとしている
- NASA本部のAdvanced Research and Technology DivisionのディレクターGreg Stover氏は、Starfishのような民間の能力はアメリカの宇宙経済の競争力にとって重要だとし、技術実証は新しい仕組みを早く試して、その結果から学ぶためのものだと話している
- この実証は、NASAのAdvanced Research and Technology Divisionが資金を出し、カリフォルニア州シリコンバレーにあるNASA AmesのSmall Spacecraft and Distributed Systemsプログラムが管理している
SPU的視点
宇宙の点検役を目指した機体が、無線を切ったままにしてしまう故障対策のシステムの問題で、声を届けられなくなった。どれだけ鍛えた技術も、最初の一歩の確認でつまずくことがある。それでもStarfishは次のOtterで続けると言っている。うまくいかなかった1回を記録して、次の1回に生かす。地道に積み上げる姿勢は、宇宙でも地上でも変わらない。宇宙をパンプアップ!
出典:
NASA「NASA-Funded SSPICY Mission Experiences Communications Loss」(Small Satellites ブログ、2026年11月3日、Gianine Figliozzi)https://www.nasa.gov/blogs/smallsatellites/2026/11/03/nasa-funded-sspicy-mission-experiences-communications-loss/