アキレス腱症の高容量注射、12か月後に偽の注射と明確な差なし 全員が同じ運動プログラムを受けた192人のランダム化試験(BMJ)

戦士諸君、走る・跳ぶを支えるアキレス腱。その痛みに使われることがある注射について、偽の注射と比べたランダム化比較試験の結果が、英国の医学誌「The BMJ」に掲載された。アキレス腱の中ほどが痛む「アキレス腱症」の人に、大量の液(生理食塩水と局所麻酔薬。一部は低用量のコルチコステロイドも)を入れる注射(高容量注射)をしても、12か月後には偽の注射と比べて明確な差が見られなかったという。

どんな試験か

  • オーストラリア・メルボルンの放射線科のクリニックで、2019年12月〜2022年7月に参加者を集めたランダム化比較試験(Inject試験)
  • 参加者はアキレス腱症の大人192人(平均49歳、男性55%)。主にSNSを通じて募集した
  • 3つのグループに分けた:偽の注射(64人)、コルチコステロイド(ステロイドの一種)を含まない高容量注射(63人)、含む高容量注射(65人)
  • 3つのグループとも、同じ運動プログラム、説明、活動の調整についての助言を受けた
  • 主な評価は、痛みと生活への支障を本人が答える「VISA-A」(0〜100点、100点が痛みや支障なし)で、52週(12か月)後に比べた。192人のうち181人(94%)のデータがそろった

結果

  • 12か月後、偽の注射と高容量注射(ステロイドあり・なし)の間に、明確な差は見られなかった。2種類の注射の間にも明確な差はなかった
  • ステロイドを含まない注射は、どの時点でも偽の注射より良い結果を示さなかった
  • ステロイドを含む注射は、6週の時点で偽の注射より小さな短期の改善があったが、26週の時点ではステロイドを含まない注射より悪い結果だった
  • 試験に関係する重い有害事象は記録されなかった
  • 著者らは、これらの注射を日常的に使うことは支持されないとし、医師がアキレス腱症にこの注射を使う理由を考え直すきっかけになるべきだとしている

論説と、この試験の限界

  • 同じ号の論説で、シドニー大学のJohn Orchard氏は、ステロイドが役に立つのは、短期の必要が長期の必要を上回る場面に限られ、ステロイドが腱症を治すと患者に伝えてはいけない、という趣旨を述べている
  • 著者らは限界として、主にSNSで募集したため結果を広く当てはめにくい可能性、注射をする側は注射の種類を知っていたこと、一部の結果は偶然による可能性を挙げている
  • この試験には「運動なし」のグループが無いため、運動そのものの効果を比べたものではない

SPU的視点

注射で一気に解決、とはいかなかった。3つのグループは全員、同じ運動プログラムを受けていたが、この試験は運動の効果を比べたものではない。アキレス腱の痛みが続く戦士は、自己判断で無理をせず、治療の方法は医師とよく相談してほしい(編集部より)。今日もパンプ!

出典:
EurekAlert!(BMJ Group)「Achilles injections show no meaningful benefit over sham treatment」(2026年10月28日)https://www.eurekalert.org/news-releases/1149271
論文:Efficacy and cost effectiveness of high volume injections with and without corticosteroid compared with sham for midportion Achilles tendinopathy (Inject trial): randomised controlled trial(The BMJ、DOI 10.1136/bmj-2026-100807)

Leave a Comment

Your email address will not be published. Required fields are marked *

CAPTCHA


Scroll to Top