戦士諸君、宇宙が生まれてから最初の20億年を、まるごと計算の中で育て直した研究チームがいる。ハーバード・スミソニアン天体物理学センター(CfA)などのチームは、宇宙の始まりのころを再現するシミュレーション「Lumina(ルミナ)」を発表した。発表によると、初期の宇宙のシミュレーションとして、これまでで最も大きく詳しいものの一つだという。
Luminaで計算したこと
- ガスやダークマター、光(放射)が、星や銀河を形づくっていく様子を、宇宙の最初の20億年について計算した
- 計算した範囲は、一辺が約15億光年の立方体。発表によると、似た従来のシミュレーションの100倍を超える体積になる
- 宇宙の水素とヘリウムが、今の姿に変わっていく「再電離」と呼ばれる時代を扱っている。発表によると、ヘリウムの再電離を、変化していくモデルの中に取り込んだのは初めてだという
- 計算には、米国テネシー州のオークリッジ国立研究所にあるスーパーコンピューター「Frontier」で、15,000を超えるGPUを使った
何に使うのか
- ビッグバンの後に宇宙がどう進化したかについての理論を確かめる、強力な新しい道具になるとしている。ジェイムズ・ウェッブ宇宙望遠鏡(JWST)やナンシー・グレース・ローマン宇宙望遠鏡などの観測と、Luminaの予測を比べて確かめる
- 観測と比べて、宇宙の始まりについての理論を確かめるための道具という位置づけで、今回の発表は、実際の観測と比べた結果を示したものではない
- 筆頭著者のOliver Zier氏(CfAのITCフェロー)は、JWSTによって初期の宇宙が天体物理学のわくわくする新しい最前線になった、という趣旨を語っている
- 共著者のAaron Smith氏(テキサス大学ダラス校の物理学の助教)は、水素とヘリウムの両方が今の形に変わっていく様子を初めて追えるようになった、という趣旨を語っている
論文
- 論文は英国の天文学誌「Monthly Notices of the Royal Astronomical Society」に掲載された(題名:Introducing the Lumina project: large-volume radiation-hydrodynamic simulations of the epochs of hydrogen and helium reionization、DOI 10.1093/mnras/stag1469)
SPU的視点
一辺15億光年の箱の中で、宇宙の最初の20億年を一から育て直す。しかも15,000を超えるGPUを使った、まさに宇宙規模のトレーニングだ。地球のバルクんの愛車、電動アシスト三輪車で走れる距離とは、比べるのもばかばかしいスケールの差である。答え合わせはこれから。JWSTやローマン宇宙望遠鏡が見つけるものと、計算の中の宇宙がどこまで重なるのか。積み上げた計算が、宇宙の始まりを照らす日を待とう。宇宙をパンプアップ!
出典:
EurekAlert!(Smithsonian/Center for Astrophysics | Harvard & Smithsonian)「Smithsonian scientists create most detailed simulation yet of the early universe」(2026年10月25日発表)https://www.eurekalert.org/news-releases/1148684