NASAの探査機Psyche、小惑星帯へ向けてほぼ休まず推進中 推力は最大でも単三電池1本ほどの重さ、到着は2029年夏

戦士諸君、一発の大きな力より、小さな力を休まず積み重ねる方が遠くまで行けることがある。NASAは2026年10月22日、小惑星探査機「Psyche(サイキ)」が火星のスイングバイを終え、推進装置をほぼ休まず動かしながら、金属が多いとされる小惑星プシケへ向けて加速していると発表した。推進の力は最大でも、NASAのたとえで単三電池1本ほどの重さだという。

今、何をしているのか

  • Psycheは2023年10月に打ち上げられ、火星の重力を使って進路と速さを変えるスイングバイを終えた
  • 9月28日から推進装置をほぼ連続で動かしている。止めるのは、運用チームと交信するための週1回ほどだけ
  • 小惑星プシケへの到着は2029年夏の予定。到着までの時間のほぼ90%で推進装置を動かす計画だ
  • JPLで航法を担当するドン・ハン氏は、使える機会があれば必ず推進を使う、という趣旨を話している

小さな力で押し続ける推進装置

  • 太陽電池の電気でキセノンガスをイオンにして噴き出す「ホール効果推進装置」を使う
  • 推力は最大250ミリニュートン。NASAは、単三電池1本を手に持った時に感じる重さほどの力だとたとえている
  • 推進装置は4基あり、1度に1基ずつ使う
  • 電気をつくる太陽電池パネルは5枚組が2翼で、光を受ける面積は75平方メートル
  • 巡航中の最高速度は、地球から見て時速10万マイル(約16万900km)を超える見込み

燃料と、これからの出力

  • 打上げ時に積んだキセノンは7つのタンクに約1,090kg。3年間で、そのうち約3分の1を使った
  • JPLの推進担当の主任技術者スティーブ・スナイダー氏によると、これから3か月は全出力で動かし、その後は太陽から遠ざかって日差しが弱まるにつれ、少しずつ約半分の出力に下げていく
  • イオンの流れが回転することで、探査機をわずかにねじる力が生まれる。これは姿勢を保つ装置(リアクションホイール)が受け止め、たまった勢いは、探査機の向きを変え、別の推進装置を低出力で別の方向に噴射して、定期的に逃がしている

目指す小惑星プシケ

小惑星プシケは、いちばん幅の広い所で約280km。太陽系の初期にできた天体(微惑星)の核の一部だと考えられている。調べることで、地球のような岩石の惑星の内部を知る手がかりになるかもしれないという。ミッションの主任研究者リンディ・エルキンス=タントン氏(カリフォルニア大学バークレー校)は、チームが自信を持って太陽系の奥へ進んでいる、という趣旨を話している。

SPU的視点

単三電池1本ほどの重さで押す力でも、ほぼ毎日止めずに続ければ、探査機は小惑星帯まで進んでいく。筋トレも同じで、1回の追い込みより、休まず続ける週の積み重ねが体を変える。バルクんの三輪車も、電動アシストの小さな力で毎日ジムまで運んでくれる。2029年夏の到着まで、Psycheの押し続ける旅を見守りたい。宇宙をパンプアップ!

出典:
NASA「Pedal to the Metal: NASA’s Psyche Heads Toward Asteroid Belt」(2026年10月22日)https://science.nasa.gov/blogs/psyche/2026/10/22/pedal-to-the-metal-nasas-psyche-heads-toward-asteroid-belt/

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