筋肉増強ステロイドを使い続けた人は心臓のポンプ機能が低下、やめた人では改善 オスロ大学病院が6年半〜7年後に再検査

戦士諸君、今日は「近道」の代償の話だ。筋肉増強のためのアナボリック・アンドロゲン・ステロイド(AAS)を使っていた筋トレ愛好家の心臓を、約6年半〜7年後にもう一度調べた研究を、ノルウェーのオスロ大学病院などのチームが発表した。論文は欧州心臓病学会の学術誌「European Heart Journal – Cardiovascular Imaging」に2026年10月12日付で掲載された。

どんな研究か

  • 2017〜19年に調べた男性の筋トレ愛好家(AAS使用者101人、使っていない人71人)を、2025年に追跡調査した観察研究。
  • 再検査を受けたのはAAS使用者70人(使い続けた35人、やめた15人、ずっとやめている14人、再開した6人)と、使っていない筋トレ愛好家35人。
  • 心臓の超音波検査で、心臓の筋肉の厚み(重さ)やポンプ機能を比べた。

使い続けた人の心臓

  • 使い続けた人の左室駆出率(LVEF、心臓のポンプ機能の指標)は48±10%だった。
  • 35人中6人(17%)がLVEF 40%以下、16人(46%)が41〜49%で、ポンプ機能の低下が見られた。
  • 心臓がゆるんで血液をためる働き(拡張機能)も悪化していた。
  • 使い続けた人の週あたりの使用量は約965mgから約528mgへとほぼ半分に減っていたが、それまでの使用量の合計は心臓の変化と有意な関連がなかった。
  • 使い続けた人のうち、血圧の薬で治療していた人はLVEFが平均5%上がり、治療していない人は平均4%下がった。
  • AAS使用者70人のうち9人(13%)が、精密検査などのため医療機関に紹介された。

やめた人では改善が見られた

  • やめた人では、心臓の筋肉の重さの指標(LVMI)が21g/m²減り、LVEFが6%上がった。
  • 研究チームは、やめることが心臓の構造と機能の改善と関連しており、変化は「部分的に元に戻りうる」としている。

研究の限界

  • 観察研究のため、因果関係までは示していない。グループごとの人数は少ない。
  • 追跡期間中の使用状況は本人の申告で、記憶違いの可能性がある。
  • やめた人の改善には、平均への回帰(極端な値が自然に平均に近づく現象)が含まれている可能性があると著者らは書いている。追跡できなかった人がいることや、ほかの要因の影響も否定できないという。

SPU的視点

SPUの裏テーマは「正しい努力(筋トレ)vs 不正な力(ドーピング)」だ。この研究では、使用量をほぼ半分に減らしていても、使い続けた人の約6割(35人中22人)にポンプ機能の低下が見られた。筋肉は、トレーニングと食事と睡眠で積み上げるもの。心臓は替えのきかない、たった1つのエンジンだ。正しい努力で、今日もパンプ!

出典:「Cardiovascular effects of continued vs. discontinued anabolic–androgenic steroid use: a longitudinal follow-up study」European Heart Journal – Cardiovascular Imaging(2026年10月12日)DOI: 10.1093/ehjci/jeag238
https://academic.oup.com/ehjcimaging/advance-article/doi/10.1093/ehjci/jeag238/8885726

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