AIが「チームを組んだ自分」から学んで自分を鍛え直す、Sakana AIが自己改善の新手法MASSを発表

戦士諸君、AIが「チームを組んだ自分」から学んで自分を鍛え直す——そんな研究が発表された。AI企業のSakana AIは2026年10月12日、カリフォルニア大学バークレー校の研究者と共同で、新しい自己改善の手法「MASS(Multi-Agent Self-Supervision)」を公式ブログで公開した。論文はarXivに掲載されている(査読前)。

どんな仕組みなのか

  • 1つのAIモデルが、仮想の「部下(サブエージェント)」を何体も使うチームとして課題を解く。
  • より良いチームの組み方(ワークフロー)を探し、自分の判断で一番良いものを選ぶ。
  • 一番良かったチームの作業記録を使って、元のモデル自身を学習させる。Sakana AIは、チームの経験を1つのモデルに「蒸留」すると説明している。

結果

  • 公開されているオープンウェイトのモデル「Qwen3.6-27B」を出発点に、このサイクルを2回まわした。
  • 研究系の4つのベンチマークで、「出力トークンあたりのスコア」が元のモデルの1.2〜1.6倍になった(MLR-Bench 1.60倍、DSBench 1.35倍、ScienceAgentBench 1.20倍、AstaBench E2E-Hard 1.28倍)。
  • 一方、ソフトウェア開発系のTerminal-Bench 2.0では0.96倍、SWE-bench Verifiedでは0.94倍と、元のモデルを下回った。
  • 研究チームは、1体だけで作業した記録よりもチームでの作業記録の方が、学習データとして効率が良いとしている。

「出力トークンあたりのスコア」は、少ない出力でどれだけ点を取れたかという効率の目安で、正答率そのものではない。

研究チーム自身の警告

同じモデルが課題を解き、自分で良し悪しも判断するため、共通の見落としがあると「失敗」を「進歩」と思い込み、それを学習で強めてしまうおそれがある。研究チームはこれを自己改善の「アキレス腱」になりうると書き、失敗を見つけて人が介入できる手段を残す必要があるとしている。なお、成果の判定には、MASSとは別にGPT-5.5とClaude Opus 4.8に評価させている。

読むときの注意

  • 査読前の論文で、数値はすべて研究チームによる評価。
  • 比べている相手は元のモデルで、ほかの手法との比較ではない。
  • 研究チームも、効果の広がりにはばらつきがあると書いている。

SPU的視点

チームで練習して、一番うまくいったやり方を自分の体に覚え込ませる。部活やジムの合同トレーニングと同じ発想だ。ただし、自分で自分を採点すると甘くなるのも人間と同じ。フォームは鏡やコーチという「外の目」でチェックしよう。正しい努力には、正しい審判が必要だ。今日もパンプ!

出典:Sakana AI「MASS」(2026年10月12日)
https://sakana.ai/mass/
詳細:https://pub.sakana.ai/mass/
論文:arXiv「Recursive Self-Improvement through Multi-Agent Self-Supervision」
https://arxiv.org/abs/2610.12176

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